宅建 権利関係(4) 抵当権,債務不履行,担保責任,連帯債務等

宅建

抵当権

抵当権

物的担保→抵当権

・人的担保→保証債務

抵当権は物権の変動の一種なので意思表示だけで効力を生ずる。しかし第三者に対抗する為には登記が必要。

・妨害排除請求・・・被担保債権の弁済期前でもOKで債務者以外の第三者にも主張可能。

・抵当権の効力が及ぶもの→付加一体物(家の一部)や抵当権設定時からあった従物

天然果実(農作物等)には及ばない

→抵当権が設定できるもの・・・不動産、地上権、永小作権等 ※賃借権には設定出来ない。

・抵当権は一つの目的物に対して何重にも設定できるが抵当権の順位は登記の前後で決まる。

・抵当権の順位を変更するには?

→①抵当権者全員の合意と②利害関係者の承諾が必要だが抵当権設定者の承諾は不要。

・一番抵当権が消滅すると二番抵当権が一番に繰り上がる。

・複数の債権者がいる場合の利息については最後の2年分に限って優先的に弁済を受けられる。

法定地上権の条件

①抵当権設定時に土地の上に建物が存在している。

②その土地と建物が抵当権設定時に同一人物の所有物である。

上記二点を満たせば仮に土地が競売により他人の物になっても自動的に建物の地上権を取得できる。(登記不要)

一括競売・・・更地に抵当権が設定された後で建物が建てられた場合、抵当権者は土地と建物の両方を一括で競売にかけることが出来る。しかし優先弁済を受けられるのは土地の代金だけ

・建物の明け渡し猶予・・・抵当権が設定されている建物(土地はダメ)を賃借した人は明け渡しまで6ヵ月猶予がもらえる。

抵当権消滅方法

・抵当権の設定されている不動産を買った人は次に3種の方法で消滅出来る。

①被担保債権の弁済・・・債務者の債権を代わりに債権者へ返済して債務者に求償(償還請求)する事。

②抵当権消滅請求・・・債権者に交渉する。抵当権消滅請求が終わるまで債務者への不動産代の支払いは拒絶できる。

③代価弁済・・・不動産代を債務者ではなく債権者に代わりに支払う事

抵当権の4つの性質

①物上代位性・・・抵当権を設定した物権が消失、売却、賃貸された場合、債務者にお金が支払われる前であれば差し押さえが可能。

②不可分性・・・・被担保債権全額が弁済されるまで目的物全部に効力を有する。

③随伴性・・・・・被担保債権が譲渡されると抵当権その他の担保物権も一緒に移転する。担保物権が第三者に譲渡した場合は担保物権の登記が必要。

④付従性・・・・・被担保債権が成立しないと抵当権も成立しない。被担保債権が消滅すれば抵当権も消滅する。債権無ければ担保なし。

根抵当権

・根抵当権・・・例えば1億という極度額を設けて限度額内の金額に対して自動的に担保される権利の事。利息の保証は極度額が限度額となる。

根抵当権において利害関係者(後順位抵当権者等)の承諾が必要かどうかと元本確定後でも可能か?

→担保債権の範囲の変更・債務者の変更、元本確定期日の変更は承諾不要で元本確定後不可。

→極度額の変更のみ承諾が必要だが元本確定後でも可能。

債務不履行・損害賠償・解除

債務不履行

・債務不履行・・・契約違反の事。

①履行遅滞②履行不能 いずれも「債務者の責に帰すべき事由」が必要。(故意か過失)

不可抗力なら危険負担となる→債務不履行ではない。 履行遅滞中の不可抗力は債務者の責任

いつから履行遅延となるか?

・確定期限付き→期限が到来した時から。

・不確定期限付き→期限が到来したと債務者が知った時から。

・条件付→条件成就したことを債務者が知った時から。

・期限の定めなし→債権者が債務者に履行を請求した時から。

消滅時効は知らなくても請求しなくても直ちに進行する。

債務不履行に対する対応

①損害賠償・・・損害を原則金銭で支払うように請求できる。

契約時に損害賠償額を予定可能(契約後不履行前であればいつでもOK) 実害がゼロでも貰えるがもっと大きくても予定金額のみ。

金銭債務のみ年5%の損害賠償+不可抗力で遅れた場合でも履行遅滞となる。

②解除・・・解除した場合、撤回はできない。

→履行遅滞・・・相当の期間を定めて履行するよう催告しそれでも履行しない場合、はじめて解除。

→履行不能・・・催告せず直ちに解除。

解除後返して貰えるはずの不動産が既に第三者に転売されていたら返還して貰えるかは登記の有無次第。

利息に関しては解除によりお金を返す際受け取った時まで遡って年5%の利息を加えて返さないといけない。

売買契約で手付を交付した場合

①買主→手付を放棄すれば契約を解除可能。意思表示のみでOK。

②売主→手付の倍額を返還で契約を解除可能。現実の提供が必要。

どちらも契約の履行に着手した時点で手付による解除不可。

債務不履行解除、合意解除→手付は買主に返る。

担保責任

担保責任

担保責任・・・売買契約にて買主が思っていた内容と違うと売主に文句を言いたくなる場合、どんな責任を追及可能か?→この責任の事を担保責任という。

③瑕疵について新築住宅の主要部分(床、壁、屋根等)に隠れた瑕疵がある場合は引渡しから10年間賠償請求解除が出来て更に瑕疵修補請求が可能。両者の合意により20年まで伸ばせるが10年未満に縮める特約は無効。

・代理人を立てた場合は本人と代理人両者とも善意でないと瑕疵担保責任を追及不可。

連帯債務・保証債務

連帯債務

・債権者は連帯債務者の内一人に対して債務全額の履行を請求できる。

・一人が全額を弁済すると他の連帯債務者も債務全額を免れる。

・弁済した連帯債務者の一人は他の連帯債務者に負担部分の割合で求償可能。

・連帯債務者一人に(相続・請求・時効)が起こると他の債務者にも効力が及ぶ。

債権者が債務者一人に請求すると他の連帯債務者にも時効の中断(勝訴が必要)と履行遅滞(口頭でOK)の効果が生じる。

一人の債務者が弁済しないで逃げ回り消滅時効が完成すればその一人の負担部分にだけ効力が及ぶ。

相続・請求・時効以外の事は他の連帯債務者に効力が及ばない。

下記3点は他の連帯債務者には効力が及ばない事由。

①承認・・・時効の中断事由。一人だけ時効ストップ。常連の飲み屋で今回のお会計つけといて~もコレ

②無効、取消し・・・一人が制限行為能力者等で契約が取消しになっても他の債務者には無影響。

③期限の猶予・・・債権者が一人の債務者に返済を2ヵ月待つといっても他の人には影響しない。

保証債務

・主たる債務者が弁済しない場合には代わりに①元本②利息③違約金④損害賠償すべてを履行しなければならない。

・保証人が責任を果たさない場合に備えて主たる債務とは別に保証債務についてのみの違約金を定めたり損害賠償の予定可能。

・債権者が主たる債務者に請求、承認すれば保証人にも効力が生じる。 しかし債権者が保証人に請求しても主たる債務者には効力は及ばない。

・保証人を保護する制度

①保証契約締結後に一方的に責任を加重されることはない。

②催告の抗弁権・・・まずは主債務者に催告しろとつっぱねられる。

検索の抗弁権・・・相当額の財産や現金等の「執行の容易な財産」がある事を証明すれば再びつっぱねられる。不動産は執行容易じゃないから不可。

③相殺援用権

・保証債務の付従性と随伴性

❶付従性・・・債権無ければ担保なし。債務が成立なしや消滅すると保証債務も消滅する。

❷随伴性・・・主たる債務が譲渡されると保証債務も一緒に移転する。

・保証人の条件

債権者が保証人を指名しなかった場合は①弁済資力、②行為能力の両方を有する人。

保証人が破産した場合(①を失う事)は債権者は変更を請求できるが行為能力を失っても変更請求できない。

債権者が保証人を指名した場合は保証人の条件は無条件で変更できない。

・保証人が2人以上いる場合は頭割り

一人の保証人が弁済した場合、求償できるのは主たる債務者に対してだけで他の保証人には出来ない。

保証人は第三取得者より偉い!

連帯保証 保証債務との違い

①連帯保証は催告・検索の抗弁権がない。

②連帯保証は分別の利益がない。

③債権者が連帯保証人に履行を請求すると効力は主たる債務者にも及ぶ。

連帯保証人が債権者に対して承認した場合、時効の中断は連帯保証人に対してのみ生じる。

連帯保証と保証債務の3つの共通点

①相殺・・・債務者は連帯保証人の反対債権で相殺できない。

②時効の中断・・・債務者への請求や承認によって連帯保証人も自動で時効の中断が起こる。

③免除・・・債権者が連帯保証の債務を免除しても主たる債務者には無影響。

 

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